以前に当ホームページのインフォメーションにて注意喚起した記事の内容に関連したことが大きな問題となり、テレビニュースとなっております。
前回のその記事を見たNHK、民放テレビ局、中日新聞、読売新聞から取材も受け、初めて知る内容もありました。
今回問題となった偽物の版画は、奈良県にある工房が、およそ8年前に大阪の画商から制作について依頼を受けたとしています。
現時点での話では、約40点の版画作品を各20枚ほど刷ったとのことで、単純計算で流通量は約800枚に上る可能性があるようです。
※2021年6月3日、情報更新。「東京美術鑑定評価機構」による201点の版画の鑑定結果が発表されました。( )に2021年5月31日時点の結果を掲載しております。本物と鑑定された作品には本物の真偽を示す特殊なシール(偽造防止策を施した真作・偽作と判別できる証明シールを貼付、このシールは、故意に剥がした際に痕跡が残る証明シールを採用しています。)が貼られているそうです。
気になる現在のところ、分かっている偽物として出回った版画作品は、下記の通りです。
・平山郁夫
作品名:「流沙朝陽(本物が制作されたのは1987年)」
作品名:「月光ブルーモスクイスタンブール(本物が制作されたのは2004年)」
(52点のうちの21点が偽物 40%が贋物だった。)
・東山魁夷
作品名:「風吹く浜(本物が制作されたのは1992年)」
作品名:「草青む(本物が制作されたのは1993年)」
作品名:「秋映(本物が制作されたのは1998年)」
(43点のうち13点が偽物 30%が贋物だった。)
※例えば偽物の「草青む」では右下の「魁」の印影が押印ではなく、印刷されたものだと判明しているようです。
・片岡球子
作品名:「桜咲く富士(本物が制作されたのは1972年)」
作品名:「〈冬〉版画集・富士四題より(本物が制作されたのは1975年)」
作品名:「富士(本物が制作されたのは1981年)」
作品名:「河口湖の赤富士(本物が制作されたのは1989年)」
作品名:「うららかな富士(本物が制作されたのは1986年)」
(106点のうち86点が偽物。81%が贋物。特に桜咲く富士は24点のうち22点が偽物だった。)
・有元利夫
作品名:「赤い部屋」1980年制作
作品名:「蒼い風」1981年制作
作品名:「MAGIC 占いの部屋」1981年制作
作品名:「MAGIC 遊戯の部屋」1981年制作
作品名:「MAGIC 雲の部屋」1981年制作
作品名:「遊戯」1983年制作
なお、有元利夫の公式鑑定機関
である「有元利夫版画登録委員会(受付:平野古陶軒)TEL:03-3535-2587 」では、2021年3月1日より上記の6点のリトグラフについての作品登録(鑑定)を行う予定だそうです。
・藤田嗣治
作品名:「猫の本」どの作品かの詳細は不明
日本人画家のほかにもどうやら、
ピカソやシャガールら海外の画家6人の作品が含まれていたとのことです。
著作権を持つ画家本人や遺族の許可(ライセンス)を取っていない可能性が高いそうです。
当店も買取には、シビアに見させてもらいますが、購入されるお客様もお気をつけください。
しかし、今回は百貨店で流通したために大きな問題となりましたが、昔から骨董品・美術品・絵画・版画・掛軸・陶磁器・工芸品は当店が取り扱う品目ですが、ブランド品や高級メーカーの腕時計、金(GOLD)など高価な値段で取引される品物には必ず、偽物が出てきます。
また、余談ですが、先月も買取で伺った先で、陶芸家として有名な北大路魯山人や荒川豊蔵のチープな偽物がありました。まだこの2名は高額で取引されるため、偽物があるのは分かるのですが、他に森村宜稲(名古屋の物故日本画家)の偽物もありました。昔は、高額で取引されたものの、現在ではコレクターの方も減り、今となっては、森村宜稲の偽物が作られることはないので、時代の大きな移り変わりを感じます。