作者名
籔内佐斗司
作品名
金雲追い風童子
サイズ
約 高さ20㎝、幅23㎝、奥行26.3㎝
重量 約5㎏
状態
童子、未使用・美品・保管品です。
箱は、蓋にほぼ分からないですが、割れと経年による少しのヨゴレあり。
備考
百貨店で購入された品物です。
限定50体。 エディション 43/50
共箱、布、立て札

金雲追い風童子

こんなに小さな私だけれど、いつも頑張るあなたの背から、そっと追い風おくりましょう。

童子について

私が創っている「童子」たちについて解説をさせていただきます。
彼らはたんなる子どもではなくて、異界からやってくる神性を秘めた童子です。あたまには、智恵の象徴であるちいさな角を生やしています。小さい時は一本ですが、すこし大きくなると、ちょうど乳歯が永久歯に生え変わるように二本のつのが生えてきます。  私は理系には暗いのですがたぶん科学者がいうところの「エネルギー」と同じものではないかと思っています。 童子は、自然界のあらゆるところで働いています。雲のうえで雨や風や雷を司っているのは風神や雷神の子どもたちである「追い風童子」や「火伏せ童子」です。 風神と雷神のこどもたちが雲のうえからひょっこり舞い降りてきて町の過去と現在と未来をみつめているのです。そして21世紀を生きるこどもたちを見守っています。 童子たちはこの世の本質やいろんな智慧をわれわれに教えてもくれます。お釈迦さまやイエスさまや孔子さまなど聖人のことばは凡夫にはいささかとっつきにくい。そこでほんのちょっとした仕種で、人類の永遠の命題である「われわれはどこからきたのか、何者であるのか、いかに生きるべきか、どこへいくのか、」を教えてくれるのです。 いまや私たちは、物質的にはあふれかえるような状況にいます。また処理しきれないほどたくさんの情報が垂れ流され、限りない欲望に振り回されています。しかし想像力や情緒、精神世界の面で現代人が先人より豊かに暮らしているといえるでしょうか。私の作り出す童子たちに、無意識の記憶を刺激され、忘れていた情景を思い出すひとたちがたくさんいます。じつは私自身もそうなのです。私はこれからもいろんな現象に見え隠れするさまざまな童子たちを見つけ出す楽しい作業をつづけてまいります。
『月刊美術』1997年4月号掲載 籔内佐斗司(彫刻家)

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