画家、陶芸家、工芸家などの芸術家が亡くなった後に絵画、陶芸、工芸、美術作品の価値は上がるのか?

  • 2023.02.15
  • 買取お役立ち情報

画家、陶芸家、芸術家が亡くなった後に絵画、陶芸、工芸、美術作品の価値は上がるのか?
画家、陶芸家、工芸家などの芸術家が亡くなった後に絵画、陶芸、工芸、美術作品の価値は上がるのか?という疑問について、下記の項目について解説します。

●芸術家(画家、陶芸家・工芸家など)が亡くなった後、作品の価値が上がるのか?

●その理由とは?

●芸術家(画家、陶芸家など)の死後の評価が決まる時期は?

●現存の画家・陶芸家・工芸家の絵画や陶芸作品・美術作品の売り時とは?


画家が亡くなった後に絵画の価値は上がるのか?

●芸術家(画家、陶芸家など)が亡くなった後、作品の価値が上がるのか?

    • 今までに買取・査定させて頂いたお客様から、よく聞かれる質問です。
      Q:もう絵画、陶芸、彫刻など作品を生みだせなくなるから、作品の価値は上がるのでしょう?
      A.いいえ、例外な芸術家を除き(後述参照)、一般的には価値は下がります。

●その理由とは?

    • 洋画家の中島健太さんも下記のように述べています。
      →生前恵まれなかったとしても、死後、価値が上がるのがアーティスト。こんな幻想を抱いている人は、多いのではないでしょうか。
      はっきり言いますが、これはウソ八百です。「でも、ゴッホとか、死んでから有名になったんでしょう?」と言う人もいます。
      それでは、フィンセント・ファン・ゴッホ以外に生前無名で死後有名になった画家を、何人挙げられますか?
      ポール・ゴーギャン、アンリ・ルソー、ヘンリー・ダーガー、石田徹也(いしだてつや)……僕は10人も挙げられません。
      生前無名で死後有名になり値段が上がることは、長い長い絵画史の中で奇跡的に起こることはあります。ですが、それは買う人が多くなれば宝くじの1等に当たる人も出てくる、ということと同じです。いまに名を残す偉大なアーティストは、皆生前「天才」と呼ばれていました。そのことからも自身の作品を売って世間に認知されることは、重要だと思います。← 引用参考文献:『完売画家』 著者 中島健太

      多くの人々が、画家や陶芸家などの芸術家が亡くなった後に、作品の価値が高まると信じています。その芸術家の作品がもう増えることがないから価値が上がるのではないか。この誤解は、歴史的に見ても、芸術/美術市場での評価が実際にはそうなっていないことが実情です。実際、画家などの芸術家が生きている間に、作品の評価はパトロン、コレクター、弟子たちの支援や興味によって大きく左右されることがよくあります。
      その一方で、芸術家が生きている間には、展示会やコンテストに参加し、受賞したり今だとSNSなどで注目を集めたりと、芸術評論家や支持者たちにより。作品の価値が上がっていきます。さらに、その後も芸術家は作品を創作し、スタイルや技術的なアプローチを進化させることができます。これにより、最新の作品は、以前の作品よりも価値が高くなる可能性があります。また、その作品の背景やプロセスに関する情報や意図などを知りえることができ、作品をより理解しやすいという利点もあります。
      つまり、画家や陶芸家などの芸術家が亡くなった後に作品の価値が上がるというのは、ロマンチックなイメージかもしれませんが、実際には誤解です。生前には、弟子やファン、コレクターたちの支援や関心が彼らの作品の評価に大きく影響を与えています。
      なお、昨今の場合、生前にかなり評価の高い画家や陶芸・工芸家などの巨匠が亡くなられた際に、作品の供給が無くなるといった理由から一時的に評価が上がることもありますが、長続きはしないように感じます。
      また、画家が亡くなってから、メディアで取り上げられたり、没後何年などの企画展で注目されたり、作品のスタイルが時代の流行に合って、一時的に人気が上がることで需要が上がり、売れる状態になる可能性はありますが、生前に全く売れていなかった画家や陶芸家・工芸家の作品が売れる状況になるには、特別な理由が必要です。何にしても、作品が欲しいと評価してくれる人が必要です。

       

    • 例外:亡くなってから価値が上がった画家・陶芸家
      もちろん、亡くなった後の方が評価が高いという例外な芸術家も多くおられます。
      その多くの場合、生前はあまり評価されずに亡くなった後に、その作品が再評価され、高い評価と価値を得ることがあります。
      一例:画家ですと有名なフィンセント・ファン・ゴッホ、フェルメール、モディリアーニ、ゴーギャンアルフレッド・シスレー、クロード・モネ、ジャン=ミシェル・バスキアや香月泰男、田中一村、高島野十郎、有元利夫、石田徹也など。
      陶芸家ですと、加守田章二バーナード・リーチなど。日本画家 伊藤若冲のような300年が経過してから再評価される場合もあります。

陶芸家が亡くなった後に陶芸作品の価値は上がるのか?

●芸術家(画家、陶芸家など)の死後の評価が決まる時期は?

    • 芸術家の価値は、一般的に死後30年で評価が固まるとも言われます。
      絵画や工芸・美術品などは、作家の死後30年ほど経過すると価値が定まってくると言われています。理由は、死後、30年が経過することで、世代交代し、生前の作家を知る人や当時のコレクターなどが少なくなるからです。そのため、純粋に作家、その作品が評価されることになるため、価値が定まるとされているのです。(ゴッホなど死後に有名になる場合も稀にあります。)

●現存の画家・陶芸家・工芸家の絵画や陶芸作品・彫刻・美術作品の売り時とは?

    • 画家・陶芸家・工芸家などの現存作家の美術作品は亡くなる前に売却した方が良い。
      美術品で現存作家の作品を保有している場合、作家が亡くなる前に売却するのが無難と言える可能性が高いようです。上記に述べたような理由から、基本的には、作家が亡くなれば価値は下落する傾向があり、購入価格より高騰するのはレアケースです。もちろん、その時の景気にも左右されるのですが、亡くなる前にその美術品を売却しておくことで、購入価格からの大幅な下落した価格で売らずに済むということにつながります。

著者:小川処堂 代表 小川智